9月の誕生石は、サファイアです。
「9月生まれだから」
贈る理由として、それはもちろん十分です。
けれど、サファイアという石を知るほど、理由はもう少し深くなります。
この記事は、9月生まれの大切な人へサファイアを贈ろうと考えている方へ向けたものです。
誕生日のプレゼントとして。
記念日の贈りものとして。
あるいは、婚約指輪という人生の節目のジュエリーとして。
サファイアが「選ばれる石」であり続けてきた理由を、石の性質と歴史の両面から見ていきます。
読み終えるころには、贈る相手にどんな一粒が似合うか、少しずつ像が結ばれているはずです。
「誠実さ」を象徴してきた石

サファイアが大切にされてきたのは、色や見た目だけが理由ではありません。
サファイアは古くから誠実、真実、忠実、高貴を象徴してきたとされています。
そして、王侯貴族やロマンスと長く結びつき、変わらぬ心(フィデリティ)の象徴とも語られてきました。
歴史をたどると、その背景が見えてきます。
中世の聖職者は、サファイアが「天」を象徴するとして身に着けていたと伝えられます。
古代ギリシャやローマの人々は、青いサファイアが持ち主を災いから守ると信じていたともいわれます。
石の名前も、ギリシャ語の「サッペイロス」に由来するとされています。
こうした言い伝えのすべてが史実というわけではありません。
けれど、これほど長いあいだ「誠実」「守り」「変わらない心」と結びつけられてきた石は多くありません。
贈る側の気持ちを、そっと言葉にしてくれる。
サファイアには、そんな一面があります。
毎日着けても、強い
サファイアには、意味だけでなく実用面でも大きな特徴があります。
サファイアはモース硬度9。
これは、宝石のなかでもダイヤモンドに次ぐ硬さです。
割れにつながる「へき開」もなく、粘り強さにも優れています。
だからGIA(米国宝石学会)も、日常的に身に着けるリングなどに適した石だと説明しています。
指輪は、毎日の暮らしのなかで一番よく手を動かす場所に着けるものです。
その環境に耐えられる硬さを持っている。
贈りものとして考えると、この強さは静かな安心感になります。
「誠実さ」を象徴し、そして毎日着けても強い。
この二つがそろうことが、次の理由につながります。
人生の節目にも選ばれてきた

「変わらない心」を象徴し、日常使いにも適した強さを持つサファイア。
その特徴から、人生の節目に贈るジュエリーとしても親しまれてきました。
その代表的な例のひとつが、婚約指輪です。
よく知られているのが、英国王室のエピソードです。
故ダイアナ元妃の婚約指輪は、オーバルカットの青いサファイアを、ダイヤモンドが取り囲むデザインでした。
そしてこの指輪は、のちにキャサリン皇太子妃へと受け継がれています。
一つの指輪が、世代をこえて受け継がれていく。
世代をこえて受け継がれるサファイアの指輪は、この宝石が持つ長い歴史を象徴するエピソードのひとつです。
婚約指輪というと、ダイヤモンドを思い浮かべる人が多いかもしれません。
もちろん、それも素敵な選択です。
ただ、
「人と少し違う石を贈りたい」
「石の色や意味に、二人らしさを込めたい」
そう考える人にとって、サファイアは有力な候補になります。
青いサファイアと、まわりを飾るダイヤモンド。
その組み合わせは、色のコントラストとしても美しく映ります。
相手に似合う色を選べる

サファイアと聞くと、多くの人が深い青を思い浮かべるでしょう。
たしかに、青はサファイアを代表する色です。
ただ、サファイアはコランダムという鉱物の一種で、赤いものをルビー、それ以外の色をサファイアと呼びます。
つまりサファイアには、青だけでなく、さまざまな色があります。
紫、緑、黄、オレンジ、ピンク。
こうした青以外のサファイアは「ファンシーサファイア」と呼ばれています。
さらに、光によって色が変わって見えるものもあります。
贈る相手のイメージに合わせて色を選べる。
これは、サファイアならではの楽しみ方です。
青が似合う人へは、伝統的な青を。
やわらかな色合いを好む人なら、ピンクやパープルも候補になります。
同じ誕生石でも、選び方に幅があります。
そしてもし、あなた自身が贈られる側としてこの石に惹かれているなら、自分に似合う一色を思い浮かべながら読み進めてみてください。
サファイアは、贈る人にとっても、受け取る人にとっても、「色の選択肢」がとても豊富な石です。
サムシングブルーとしてのサファイア
結婚という節目にサファイアを贈るなら、もう一つ知っておきたい物語があります。
「サムシングブルー」です。
これは、ヴィクトリア時代の英国に由来するとされる言い伝えです。
Something old, something new, something borrowed, something blue.
花嫁が身に着けると幸せになれる、という古い韻文の一節です。
このなかで青(blue)は、愛や純潔、そして誠実さを表すとされてきました。
つまり、サファイアが象徴する「誠実さ」「変わらない心」は、サムシングブルーの意味とも自然に重なります。
婚約指輪に青いサファイアを選ぶ。
それだけで、二人の門出に、静かな「青」を添えることができます。
もし、これから花嫁になる人がこの記事を読んでいるなら、青いサファイアを選べば、それを自分の「サムシングブルー」として身に着けることもできます。
意味と色が、一つの石のなかで結びつく。
サファイアを選ぶ理由として、これはとても美しい重なり方だと思います。
「非加熱」という選び方

サファイアを選ぶとき、知っておくと役立つ言葉があります。
「加熱」と「非加熱」です。
加熱は、サファイアの色や透明度を高めるために最も一般的に行われている処理です。
古くからある方法で、加熱されたサファイアも、それ自体は十分に美しく、丈夫です。
一方、加熱処理が施されていないと鑑別されたサファイアもあります。
一般に「非加熱サファイア」と呼ばれるものです。
GIAでは、加熱は受け入れられた処理である一方で、きちんと開示されるべきものだとしています。
高品質なサファイアでは、非加熱であることが鑑別機関によって確認されると、希少性や市場価値を評価する要素のひとつになることがあります。
なかでも、非加熱で高い品質を備えたサファイアは、限られた存在です。
もちろん、加熱されたサファイアが劣るわけではありません。
大切なのは、その石がどんな石なのかを、正しく知って選ぶことです。
実際に見て、選んでみる
サファイアは、一石ごとに色や表情が異なります。
写真だけでは分からない違いも、実際に並べてみると見えてきます。
贈りたい人を思い浮かべながら、色を見比べてみる。
そんな時間も、ジュエリー選びの楽しみのひとつです。
Maison de NADIA銀座本店では、サファイアを実際にご覧いただきながら、ご試着いただけます。